生理痛・月経困難症・PMS(月経前症候群)と鍼灸
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生理痛・月経困難症・PMS(月経前症候群)と鍼灸

 月経前、月経中などに、イライラ感や痛みなどの諸症状に悩まされ、「いつもの私じゃないみたい・・・」と思うことはありませんか?
女性は、エストロゲン、プロゲステロンと呼ばれるホルモンが微妙なバランスをとりながら毎月の月経のリズムを整えています。ストレスや様々な原因からリズムが崩れ、ホルモンの働きに支障が出るようになると女性を悩ます特有な症状が出始め、生理痛(月経痛)、さらにひどい時には月経困難症やPMS(月経前症候群)などといった症状が現れてきます。

 「ふきのとう」では、月経困難症とPMS(月経前症候群)について、西洋医学・東洋医学の両面からの理論をもとに鍼灸治療をしていきます。

月経困難症とは・・・

まず、月経困難症の前に少し生理痛についてお話します。
生理痛の原因として、子宮内膜から産生されるプロスタグランジンによる子宮筋の収縮があげられています。生理によって子宮内にいらなくなった血液や内膜がはがれてたまると、それを外に押し出そうと子宮が収縮活動をします。このときに、プロスタグランジンの量や体調の状態などにより、「痛み」が発生し、きりきりとした痛みや下腹部痛を引き起こします。

その他にも、黄体ホルモンによる骨盤内臓器の充血や浮腫による痛みの場合もあります。

これをふまえ、
生理痛(月経痛)について、特に日常生活に支障をきたすほどの重い症状(痛み、吐き気、食欲不振、下痢、頭痛、腰痛、発熱、悪心など)が現れがある場合を「月経困難症」と呼びます。
また、月経困難症は2つの種類に分類されています。


oka2-M0194経困難症の種類

   ○
器質性月経困難症
   
子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫など病気が原因となって起こります。
         子宮内膜症における生理痛は骨盤腹膜病変からの
         出血による腹膜刺激症状と考えられています。


   ○機能性月経困難症
     
特に原因となる病気などがなく、子宮を収縮させるホルモン
       (プロスタグランジン)の影響で起こるものをいいます。
器質性のものについては、婦人科での受診・治療とともに鍼灸治療を併用していくことで、随伴症状を軽減させていきます。
機能性のものについては、鍼灸の適応症ですので、体の状態を的確に把握しながら治療をすすめていきます。

PMS(月経前症候群)とは



定義:月経前症候群(premenstrual syndrome:以下PMS)は、「月経前の黄体期に精神症状(抑うつ、不安、焦燥など)や身体症状(易疲労感、浮腫、乳房圧痛など)を発現し、月経開始と共にそれらの症状が減退ないし消失するもの」(日本産婦人科学会、1990)

PMSの診断について
月経前の期間に体調や気分の変化があっても、日常生活が普通に遅れているか否かが基準となります。問診の際に日常生活の様子を、詳しく伺い、明らかに支障が出ていると判断された場合にPMSと診断されます。

また、PMSより、重症型の月経前不快気分障害(premenstrul dysphoric disorder:以下PMDD)というものもありますが、これについては、心の不調が強く現れる状態で、米国精神学会の診断基準によりその判断が厳密に定められています。

日本では、月経・排卵のある女性の約8割が月経が近くなると何かしらの不調を感じているといわれ、そのうちの20~30%の方々がPMS、さらにそのうちの2~5%の方がPMDDだと言われています。
oka2-M0194PMSの症状

   
 PMSでは、多種多様な症状があります。そのうち、一般的なものをご紹介します。

  体の不調
下腹部の張り・痛み、体重が増える、頭痛、腰痛、むくみ、肩こり、めまい、吐き気、息苦しい、動悸、手足の冷え、肌荒れ、下痢、便秘、だるくなる、疲れやすい、甘いものが無性に食べたくなる、強い眠気・・・・
 
  心の不調

いらいら、怒りっぽい、攻撃的になる、憂鬱、落ち込む、涙もろい、気分を抑制できない、性欲が増進する(減退する)・・・

   行動面
家に引きこもりがちになる、こどもを叱る、口論する、人づきあいが悪くなる、やたらと生理整頓がしたくなるなど・・・

上記なその様々な症状が現れます。そしてPMSの一番の大きな特徴は、月経の5日~1週間ほど前の期間に強い症状が現れ、月経が始まるとほぼ同時にそれらの症状が、ほとんどなくなってしまうということです


実際のところ、PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、女性ホルモンであるプロゲステロンの影響やエストロゲンの変動によって、エストロゲンと密接な関わりがある「セロトニン」という脳内物質の量が低下してくると現時点では考えられています。

「セロトニン」は不安感やイライラを抑えて気分を安定させる物質で、近年はその働きから、オキシトシンとともに「幸福のホルモン」、「幸せのホルモン」等と呼ばれて知られるようになりました。
このセロトニンが不足すると情緒が不安定になり、逆に多くなると心が安定していきます。

つまり、月経周期において低温期にエストロゲンが活発に働いている時期から、排卵をきっかけに高温期のプロゲステロンにホルモンがバトンタッチしていく際に、セロトニンの働きも悪くなり、情緒不安定な状態に陥ってしまうということです。

また、日々忙しくしている方や、ストレスを強く感じている方にもPMSが多い傾向もあります。

これらのことから、PMSの主な原因としてホルモンの変動があり、女性ホルモンの急激な変化に脳や体がついていけずに悲鳴を上げている状態といえるのです。
 

 

 

東洋医学からの見方

 

 

 

東洋医学では生理痛を「痛経」「経行腹痛」と言います。
女性の月経前後、あるいは月経期間中に少腹部(臍の両側)・小腹部(へその下)および腰仙部に痛みがでてくることを東洋医学では月経痛と言います。

 
月経に深く関与するのは、臓腑では
。古くなった血を排泄して、新しい血をためるのが月経であり、これは肝の蔵血作用によるものと考えられています。なので、肝の不調は月経に影響します。また、腎は蔵精をつかさどり、精と血は互いに転化するので、精の不足は血の不足につながります。

 そして月経痛の主な原因は、気血の運行がスムーズに出来ないことにあります。血は身体のすみずみまで栄養や酸素を運び、また老廃物を排泄する大切な役割を担っています。血液の流れが悪くなり、それに伴うさまざまな不快な症状が現れることを「お血(おけつ)」と呼びますが、生理痛は「お血」が主な原因であると考えられています


「お血」になると痛みが激しくなるうえ、その痛みがあちこちに移動します。生理中にはお腹や腰などの痛みはだんだん強くなってきます。同じ生理痛といっても症状などから、いくつかのタイプに分けられ、治療に使うツボもそのタイプ別に違うことがありますが、鍼灸治療をすることで効率よく血の流れを改善し、痛み症状を和らげ、予防することができます。


 鍼灸治療

生理痛・月経困難症そしてPMSなどの鍼灸治療では、血の流れを改善し、痛みの症状の緩和や予防をしながら自律神経やホルモンのバランスもコントロールしていきます。
それと同時に体の冷えを取り去り、
気・血のめぐりを良くさせていくことを目的とした治療も行っていきます。
鍼灸治療は副作用の心配も少なく、体質全体を改善していけるので、何よりも安心して治療を継続していけるのです

 「生理なんだから、痛みがあっても仕方がない・・・」とあきらめていませんか?
原因をつかみながら、的確な鍼灸治療をすることで、つらい痛みや、症状を一緒に改善していきましょう。

治療のペースとしては、週1回程度の体のバランスを整える治療をしながら、月経前の5日~1週間前ほどからは集中的に治療をして効果をより高めることで、穏やかに月経を迎えるようにしていきます。

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